制作環境 Environment: 2008年7月アーカイブ

98年ごろのことだったでしょうか?今から10年くらい前、忘れもしない私にとってのエポックメーキング的マシン、MacintoshのDT233というマシンがありました。IBMが開発したG3というCPUは当時びっくりするくらい高性能で、数本ではあるもののプラグインソフトウェアをネイティブで使えるようになったのです。

ProsonicのOrange VocoderやCubaseVSTに付属されていたプラグインシンセ「NEON」のフィルターをグリグリしながら、プチノイズ(スパイクノイズ)と戦いながら、作曲したものです。

そしてお気に入りだったのがKOBLO VIBRA 1000!フリーのVSTiだったにもかかわらずなんとアルペジエーターがついていました。(今じゃ当たり前だけど、当時は画期的!)ところがアルペジエーターをいじればしょっちゅうフリーズしていたことを思い出します。

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あの時はサンプラーやシンセなどの音源のサポートとして使っており、プラグインソフトウェアが将来メインのシステムの中核になるとは夢にも思いませんでした。

それから10年がたって、サンプラーも音源もすべてプラグインとなり、今やうちのスタジオからはサンプラーも音源も無くなってしまいました。

負荷の軽いプラグインなら、余裕で100本は立ち上がる環境で制作するこの時代、当時からすると考えられないことです。

古いシンセやアウトボードもどんどんプラグイン化され、いまやプラグイン化できない機材は無いのでは?という時代です。

昔、楽器屋に機材を買いに行くように今はプラグインソフトを買いに行きます。

ただ、近年ソフトを買って悲しいことは、でっかい箱を上げるとペラりと1枚、オーソライゼーション番号が書いた紙しか入っていなかったりします。おいおい!ソフトは?CDはDVDは??と思うと最新バージョンはWEBからDLしろとのこと。完全なる過剰包装です。エコではありませんねぇ。

昔のように機材に電源を挿して、初めてスイッチを入れる「火入れ式」なんて儀式は無くなってしまいましたが、その代わり今はプラグインをインストールして初めて立ち上げるときはドキドキものです。

音楽もDLして購入する時代、音楽制作するツールもDLで購入するわけです。モノは介在しない時代になりつつあるわけです。複雑な心境ではありますが、時代は時代です。

ネイティブプラグインシステムの雄、「VST」はVirtual Studio Technologyの略。まさにスタジオもバーチャルになっていくわけです。

そこで、非常に良いことも・・・。すべてはパソコンで完結するわけですから、モバイルで作曲が可能になるわけです。昔なら、車に満載の機材がノートパソコンにすべて入ってしまうわけです。

ということは旅先でも作曲できちゃう訳です。

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モバイル制作セット!
Panasonic Let's note, Frontier Design Alpha Track, Yamaha KX25, 20年以上前から使っているモニターKS10。本来はキーボードアンプ。すでにビンテージ??モバイルなら十分! サウンドインターフェースはこのときはECHO INDIGO。レコーディングが必要なときはRME FireFace400。

近年の音楽制作機材の中での一番の進歩と言えばコントローラーがあげられるかも知れない。

コンピューター化が進む中、ハードウェアの利用が減り、ユーザーはより直感的に、より感覚的にパラメーターをコントロールすることを望むようになったと思う。そしてコントローラーはものすごい発展を遂げている。

その頂点ともいえるのがProToolsのICONだろう。でっかいマウスと揶揄する人もいるくらいだが、コントローラーの頂点だろう。

今までのコンソール(卓)とは基本的に扱うモノが違う。音楽のことを詳しく知らない人は、SSLの卓もICONも同じ機能であると思っている人も少なくはない。ICONはオーディオ信号を扱うのではなく、あくまでProToolsをコントロールするコントローラーなのだ。

アンチ、フィジカルコントローラーだった私も今や、DM2000をコントローラーとして使い、コントローラーなしでのプロダクションは考えらないところまで来ている。

そして最近、目を見張るのが、ローコストなコントローラーだ。とにかく今やどのくらいあるかはわからないくらい種類はある。

ここ最近ではAlpha Track、Fader Portなんかもその操作性に驚いた。そして今度発売されるSteinbergのC121のプロトタイプを見たが、ストイックまでにCUBASE、NUENDOに特化したコントローラーで発売が待ち遠しい。

で、先日あるコントローラーに出会った。それはNovationのNocturnだ。たった¥16,000そこそこで、その機能性には驚いた。

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今までのコントローラーとは一線を画すコントローラーなのた。まず設計がユニバーサル。AutoMap機能はコントローラーにパラメーターアサインを自動で行なってくれ、希望とあらば、「Learn」ボタンひとつで好きなパラメータを好きなロータリーエンコーダー、ボタンにアサインできる。

しかもMixerだろうが、Instrumentだろうが、FXだろうが、ボタンひとつですぐにコントロールできる。フィルターのカットオフも気持ちよくグリグリ出来る。

はっきり言って驚いた。すべてのロータリーエンコーダーはタッチセンスつきで、オートメーションだって簡単に記録できる。

そしてなんといってもロータリーエンコーダーの操作性が高い。よくあるロータリーエンコーダーはGUI上のつまみを90度回したいと思っても120度まわさないといけなかったり、気持ちよくコントロールできないことが多い。

ところがこのNOCTURNは直感性を失うことなく90度はほぼ90度回せばいいのだ。

いやー気持ちいい。非常に軽いので、モバイルでは必須になることは間違いなしだ。

ただ、ひとつ苦言を言うならば見た目がデザイン性に優れすぎて、初めて見る人にはその機能性がわかりにくいことだろう。

しかし、こんな低価格でこんなことが出来たら、次はどんなコントローラーが出てくるのかが楽しみだ。

1.jpg音楽を制作する上で、パソコンは不可欠なものになっている。 そして現在、大きく分けてMAC派とWINDOWS派と2分される。よく、どちらが良いのですか?と聞かれるが、正直どちらでも良い。MACが音が良いだとか、WINDOWSの方がアプリが進んでいるだとか、はたまた、MACがプロでWINDOWSがアマチュアだ、なんてナンセンスなことを言う人も意外と多い。ProToolsはMACだけのソリューションだと思っているエンジニアだっていることに驚かされる。

ここで言いたいのは自分の制作ワークフローにちゃんと沿っているのかが重要なのだ。私はここ20年、MACを使ったり、WINDOWSを使ったり、(MS-DOSって時代もあったかな?)時代時代でマシンを変えてきた。

そして、5年前自分の制作スタイルをより効率化するためにMACからWINDOWSに変えた。それはMACが劣っていたのではなく、WINDOWSが自分のワークフローに合っていたからだ。ただそれだけだ。どちらの方が音がいいなんて聞かれると、「いい音の作品をつくることが大事だよ」と答えてしまう。

つい先日、レパードになったMACを触ってみた。さすがMACと思わされるすばらしい機能が満載されていた。もしかしたら、近いうちにMACに戻るかも知れない。発表されてからだいぶ立つVISTAも思いのほか評判が悪いしね。

大事なのは、自分の制作効率を上げるのであれば、時代に自分から沿っていくことが大切なのかも知れない。すなわち、自分を変えられるかだ。

同時に自分に合ったパソコン環境を作ることが大切だ。いくらクロックスピードの速いパソコンを持っていても転送速度の遅いHDDで作業をしていたら意味が無い。

最近良く感じることなのだが、映像とのシンクを考えたワークフローを考えるとCPUの速度よりもHDDのデータ転送速度の方が重要なのだ。

音楽もハイレゾの時代、映像もハイレゾだ。ボトルネックをいち早く見つけ出し、それをスピーディーに改善する力が、クリエータにも必要とされているのだ。

買ってきたパソコンを遅い遅い、という前に何の原因で遅くなっているのかを見出してみよう。パソコンに疎いクリエータにはつらい時代かも知れない。