リニア編集のMAのワークフローは割りと面倒くさい。
オンライン編集であがったHDカムなどのテープをMA室に搬入し、
テープのVTRをフェアライトなどでMAするために
リアルタイムかけて、HDDにダビングする。つまり「起こし」作業のことである。
画と同録を吸い上げたあとに、同録の調整を行い、SEや音楽をつけて
MIX、そして2MIXダウンをつくる。その2MIXをリアルタイムかけて搬入時のテープに
2chまるごと差し替えるのだ。これを「戻し」作業と言う。
厄介なのは、起こし・戻しともにリアルタイムかかると言うことだ。TV番組などでは
このあとプレビューをしたりとかで、作ったVTRを完成までに、おそらく20回は観る。
オフライン編集時からすると、下手したら100回観る場合もあるかもしれない。
その際にリニアはテープなので、いわゆる「行って来い」するのが大変だ。
うちのスタジオは「脱デッキ」宣言をしているので、まずテープデッキがない。
そのため、全てのワークフローがHDDのデータで行われる。
つまりMAの「起こし・戻し」の作業も事実上ないし、スーパー入れなども
そのダビングには実時間を要さない。全ては「レンダリング」という作業で編集される。
Premiere上で編集した白素材をGIGAイーサでAFTEREFFECTSのマシンにデータで送り、
そこでCGやスーパーを入れて(ダウンコンなどの作業もここで行う)、画完パケを、もう一度
PremiereのFINISH用のタイムラインに送り返す。そこでTCを乗せたムービーを書き出して、
TCを焼き付けたデータをMA用のマシンに、GIGAイーサで転送(この転送がいわゆる「起こし」に相当)。
MAマシンからはWAVファイルだけをPremiereマシンに送り、ファイナルのタイムラインに貼り付け、
ムービーを書き出しする(これが「戻し」に相当)。
↑ほとんどの場合、実時間以下のコピー。ただしエンコードは時間がかかる・・・
一見複雑に見えるが、要しているPCは3台。編集用と、スーパー用、そしてMA用だ。
データをその3台で行き来しているだけのこと。棲み分けをはっきりとさせれば、作業の効率化も
上がる。FINISHのタイムラインからはどんな書き出しにも対応できるので、テープだろうが、
FLASHだろうが、DVDだろうが、その先の配信先は如何様にでも変えられるのがメリットと言えるだろう。
ノンリニアは編集だけでなく、こういったPC間の棲み分け型作業にとても向いているのだ。
特にMAにいたっては、コストの削減だけでなく、作業効率の良さはリニアをはるかに超えていると言える。
コストもかからず、効率のよいワークフローが確立できるのも、PCの速度が上がったからだ。
この限界知らずのPC技術向上は、多岐にわたり「不可能」を「可能」しているのだろう。
パソコン様、かんしゃいたしまする~これから秋葉原いくでー ジージャン忘れるなー!